自覚と自立の大切さ

・少年部の子供達を育成し始めて15年以上になる。
わたしは大阪で指導を始めて22年経つが稽古を休んだ記憶が無い。 この間、結構大きな病気やケガもしたが稽古は休まなかった。 絶対休まないと不退転の気持ちになれば、出来るものである。 さて、子供達を安定的に成長させる為にはどうあったら良いでしょうか?


・まず、親、指導者、先生が常に安定している事である。 子供達は、言葉で充分に現せなくても、感性で受け取る力は抜群である。 常日頃から接する親が、何かことあるごとに、自分の感情をあらわにするのは極めて子供を不安定にする。 同じ様に、定期的に接する指導者や先生が休みがちであったり、日によって態度が変わったり、同じことをしていても子供によって云う事が変わったりすれば、子供は不安定になり、人を信用しなくなる。


・多くの道場では、少年部の指導は道場長が行わず、初段~三段位の人が行っている。 また、稽古時間も非常に短い。 育成のための精神的な話は皆無である。 それはそうであろう、少年達を指導する人達は、合気道の技は知っていても、自分達自身が人の育成方法を修得していないのだから、出来る筈がないのである。 また、一言で言えば、道場長や指導者は少年達をなめている。
身体が出来ていない、理解度が低い、真剣さが無い等、色々な理由をつけて、お遊びの様な稽古をする。 姿勢が悪くても、話している時に目をそらしても、子供たち同士がふざけあっていても、強くは注意しない。 一体道場を何だと思っているのか・・・? こんな姿勢では、まともな子が育つ筈が無い。 ましてや、生きる強さを強化するなど出来る筈がない。


・まず、親は子供の成長に合わせて、親が関与することを少なくする必要がある。 子供が苦労しない様に、何でも親が答えを用意しておいて、そちらへ誘導する親が何と多い事か? 最近の子供は声が極端に小さく、話す内容も言葉足らずで、聞き取れずに何度も何度も聞き直すことが多い。 尋ねても、声に出さず、うなずくか首を振る子が多い。 一体親はどの様に育てたのか? 親の責任は非常に重いぞ! こう言う子を、育成すことが如何に困難を極めるのか、親はもっともっと自分の至らなさを反省して欲しい。 本来なら幅広く、深く成長できる資質を持っている子供を、自分の子供だからと云って、狭く細くして、生きる強さを奪ってしまうのは、何と罪深いことをしているのか、深く反省すべきである。


・子供に聞いているのに親が答えようとする。 親が正しい事を答えたとしても、一体それがどの様な意味を持つのだろうか? 例え、不充分な答えだったとしても、子供が一生懸命考え、想いを巡らせた答えならば、それからの発展性・成長は大いに期待できるのである。 特に母親は自分が子供を産んだからと云って、自分の考えを子供に押し付け、子供の自在性を奪い、成長の機会を奪う事は許されるものではない。 学校でいじめに遭ったり、先生に自分の子供が叱られたりすると、ワーワーとわめき、責任はすべて外にあり、自分には何の責任も無い態度に出る父兄がいるが、何と無責任で恥ずかしい事であろうか? 日々、一緒に生活を共にし、指導的立場に在る親に責任が無いはずが無いのである。 親は、何時も外ばかり見ていないで、ことある毎に深く自分自身を省みて、至らない点は自ら正して行く姿勢が必要である。


・指導者も同様である。 子供達は日々成長して行く。 子供の変化を何年も見守る必要がある。 また、成長は積み上げである。 一足飛びで成長出来るものではない。 何年も見守り、道を示し、時には叱り、時には誉め、その子の幸せは自分の幸せと感じ、日々の成長を忍耐強く見守る必要がある。 もし、指導者がよく変わったり、休みがちであったら、どうだろうか? まず、5年、10年と云うレンジで成長を促すことは出来ない。 つまり、大したことは出来ないし、責任も感じないであろう。 また、しょっちゅう指導者が変わったり、指導者が休みがちであったら、地味な稽古を子供達は日々したいと思うであろうか? 自分だって、ちょっと稽古に行きたくなかったら休もうとするのではないであろうか?
ですから、少年部を創ったら、道場長は絶対休んではいけない。 何時も安定した姿勢・態度が子供の安定に繋がる。 成長を阻害する態度には厳しく注意し、泣いても直させる。 例えば、話しているのに目をそらしたら、絶対許してはならない。 この様な事を許すと自分の興味の無い事は閉ざす様になり、真に身勝手な人間になる。 このことと長所を伸ばすと言う事とは全く違うことも理解すべきである。 


・子供には受け取る力を養わせることが重要である。 受け取る力を養うためには、姿勢を崩さない、人の話は目をそらさず聞く、理解した内容を自分の言葉で話す、自分の意見・考えをしっかりした発音で言う、地道な基礎稽古を重ねて心身ともに強い子供に育てる 等が必要である。


・受け取る力が備わって来たら、常に子供達に考えさせ、主体性を子供達に持たせることが重要である。 女の子なら小学校4年生ぐらいから、男の子なら小学校6年生位から、親は答えを誘導せず、子供達に考えさせ、子供達が答えを出したら、それに対して親の考えを伝え、更に子供に考えさせる必要がある。 こうして自覚させ、この自覚の積み上げが、自立に繋がって行くのです。
親達よ、子供は自分達の所有物ではないよ! 所有すると、子供の成長を奪うよ! 親達よ、自分自身を見つめて、自分が人として完成するように日々努力していますか? 過去、自分がどの様に育ったかを基準に自分の価値観を子供に押し付けていませんか? 


・人間は生れてくるからには、全ての人が使命を持っています。 それを親の身勝手、人間性の狭さによって自分の子供の自在性・使命を奪ってはいけないのですよ。 その罪は、法律を犯すより罪深いことかも知れませんよ。 子供の自覚、自立を尊重した日々を目指して行きましょう。

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